第80章

少女はひやりとした気配をまとい、ふとした瞬間、その瞳に映ったのは雪混じりの風が吹きすさぶような、凍てついた殺気だった。

たった数言。

それだけで、彼女が追い込まれていたはずの盤面は、きれいにひっくり返る。

久世悠真は酒井初音を見据え、目に信じがたい色を滲ませた。

――弁護士を雇えず、本人訴訟で控訴するしかない。

そう踏んでいた。彼女は資格こそ持っているが、「資格がある」ことと「法廷で勝てる」ことは別物だ。

しかも、どう見ても。

その訴状は、酒井初音が前もって用意していたものだった。

最初から、仕掛けていた。

前半、どれだけ汚名を着せられても沈黙し、久世湊と久世美月が配信の前...

ログインして続きを読む